以前雑誌アポロニアを連載させて頂きました日本歯科新聞社様発行の11月30日の新聞で、興味深い記事を見ました。
ここ最近、話題にあがる富山のサロンの件を発端とした歯科衛生士問題に関するアンケートの記事が出ていました。
以前、歯科衛生士専門学校の先生と話をする機会があり、その時に定員割れを起こしている専門学校の境遇を嘆えていました。
3年制に移行するにあたり、高校の先生が進路指導の際に、3年制の専門学校に行くくらいであれば、進学率を気にする傾向の強い先生方は定員割れをして誰でも受かる可能性が高い大学に進路を進めるとのことでした。
また、同じ3年制であれば看護婦を進める傾向もあるということで、どうしても衛生士を勧めて貰えない現状があると言っていました。
もともと少子化が進む中で、成り手のいない歯科衛生士という構図が成り立っていれば、今後この構図を壊さない限り、歯科衛生士の不足は担えません。
しかし今後超高齢化社会を迎えるに当たり、全身の健康と口腔内の環境の関係性が認められている中で、いかに歯科衛生士の存在価値を高めていくかは、歯科界全体で、真剣に議論していくべく命題のように感じています。
今回のアンケートでは
Q1「直接の指導課の下」は必要だと思うか?
必要42.4% 一部見直し38.8% 削除18.7%
Q2歯科衛生士の独立開業を認めるならどのような業態か?
訪問介護ステーションのような訪問口腔ケアセンター53.2%
歯科衛生士開業による予防クリニック 36.7%
いずれも認められない 33.1%
その他8.6%
Q3 診療補助でしてほしい業務は?
患者からの主訴などを聞き取り、問診表に記入85.6%
緑下のスケーリング、ループトレーニング85.6%
スタディモデルの印象採得 82.7%
摂食・嚥下訓練 80.6%
表面麻酔薬の塗布 71.2%
シーラント 70.5%
などになっていました。
特に数値の結果以上に気になったコメントが載っていました。
「きちんと歯科衛生士の仕事を任せてくれるまっとうな歯科医院が増えることが先決問題では?」
「予防的行為の保険導入が先決ではないでしょうか。それが衛生士需要を高め、地位向上につながる最短の道ではないでしょうか?」
私自身も歯科界に専門性を持つことで、様々な先生方たちと話をしたり、書籍を読ませて頂いたりして感じるのは、「保険システムの弊害」です。
歯科医院において、看板などには、「予防歯科」という言葉を明記することができません。最近は「歯の予防相談」という言葉であれば、許可が降りるようにはなってきているようですが、なぜ「予防歯科」がだめかというと、どこまでの内容を指しているのかが明確でなく、概念的に定義が明確ではないためだというのです。
それであれば「基準」を作っていくべきであり、全身の健康との歯の相関関係を考慮すれば、保険適用の中で対応する方法など、日本でも、予防歯科への取り組みを高めるように働きかけるべきではないでしょうか?
そうすれば歯科衛生士の価値も少しづつ向上していってくれるのではないでしょうか?
歯科衛生士の価値をあげるために、歯科助手と歯科衛生士の区別をしっかりつけるということも非常に大切になってきます。
そのためには歯科衛生士が国家資格であり、口腔内の管理のスペシャリストであることをしっかりと患者様に伝えることが大切になってきます。
実は平成20年のデータによると、歯科医院の総数67,779に対して、歯科衛生士の数は78,907人、つまり一施設当たり、1.2人しかいないのです。
歯科衛生士がいることだけでも、他の医院と差別化ができるような重要な要素となってきているのです。
私のお客様の先生が言っていた印象的な言葉があります。
「うちはドクターより歯科衛生士の方がアポイントを入れづらいから!」
これを笑顔で話をしてくれました。本来来院している患者様が、予防(定期健診)が定着していれば、治療の患者様より予防の患者様の方が多くなります。
歯科衛生士の方の仕事を尊敬して、機能しているからこそ言える言葉だと思い、深く感銘したのを覚えています。
色々なマーケティングを提案する中で、少しでも歯科衛生士の地位向上に貢献できるようになっていければと考えております。
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